○ 著しく微弱な電波を発射する無線局の電界強度の測定方法を定める件
昭和六十三年二月二十五日
郵政省告示第百二十七号
最終改正 平成十八年三月二十八日
総務省告示第百七十二号
電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第六条第二項の規定に基づき、同条第一項第一号に規定する発射する電波が著しく微弱な無線局の電界強度の測定方法を次のように定め、昭和六十四年五月二十七日から施行する。
一 試験場の条件
試験場(無線局が発射する電波の電界強度を測定する場所をいう。以下同じ。)は、次の各号の条件に適合すること。
1 試験場は、周囲に電波を発射する物体がなく、かつ、長径六メートル、短径五・二メートルのだ円の範囲内に測定の障害となる金属物体(測定の再現性を向上させるために大地面に敷設する金網等を除く。)がない平たんな場所であること。なお、試験場には、電波吸収体や電波の透過性のよい材質による覆いが施設された試験場(以下「代替試験場」という。)を含むこととする。
2 試験場において測定される電波の電界強度(被測定機器が発射する電波以外の電波のものに限る。)のうち、被測定機器が発射する電波の周波数と同一の周波数における電界強度は、第三項の条件に適合する測定器により測定した場合、電波法施行規則第六条第一項第一号に規定する値より一〇デシベル以上低いこと。
3 三〇MHz 以上一GHz 以下の周波数の電波を測定する試験場においては、前二号の条件に適合するほか、別表第一号に定める測定方法により測定した当該試験場における正規化サイトアッテネーション(送信用空中線と測定用空中線間の伝搬損失(被測定機器を設置する場所と同一の場所に送信用空中線を設置した場合の当該空中線から輻
ふく射される電波の電力と当該電波のうち測定用空中線に受信される電波の電力の比)から、使用した空中線のアンテナ係数及び補正値を差し引いた値をいう。以下同じ。)の値と、別表第二号又は別表第四号に示された理想的な試験場について計算した正規化サイトアッテネーションの理論値との差が(±)四デシベル以内であること。
二 被測定機器の設置条件
被測定機器は、次の各号の一の条件により設置すること。この場合において、空中線は、電界強度の測定値が最大となるように設置すること。
1 木その他の絶縁材料により作られた高さ一・五メートルの回転台(以下「回転台」という。)の上に、通常の使用状態に近い状態で設置すること。ただし、被測定機器の空中線の下端が地上高〇・五メートル未満となるときは、その下端が地上高〇・五メートルとなるよう回転台の高さを設定すること。
2 被測定機器の空中線が当該機器の本体と一・五メートル以上の給電線で接続されている場合は、当該空中線のみを回転台の上に設置し、当該機器本体は回転台の直下の地表面又は地下に設置すること。
三 測定器の条件
測定器は、次の条件に適合すること。
1 九kHz 以下の周波数の電波の測定器
総務大臣が認めるものであること。
2 九kHz を超え一五〇kHz 以下の周波数の電波の測定器
⑴ 準尖頭値検波方式の電界強度測定器であること。
⑵ 別表第六号に定める基本的特性を有すること。
3 一五〇kHz を超え一GHz 以下の周波数の電波の測定器
⑴ 準尖頭値検波方式の電界強度測定器及び尖頭値表示が可能なスペクトルアナライザであること。
⑵ 電界強度測定器は、各測定周波数において、別表第四号に定める基本的特性を有すること。
⑶ スペクトルアナライザの分解能帯域幅は、一〇kHz、一〇〇kHz 及び一MHz に設定できるものであること。
4 一GHz を超える周波数の電波の測定器
⑴ 尖頭値表示が可能なスペクトルアナライザであること。
⑵ 分解能帯域幅は一MHz とすること。
四 測定用空中線の条件
測定用空中線は、次の条件に適合すること。
1 九kHz 以下の周波数の電波の測定用空中線
総務大臣が認めるものであること。
2 九kHz を超え三〇MHz 以下の周波数の電波の測定用空中線
⑴ 電気的に遮蔽された枠型空中線であること。
⑵ 一辺が〇・六メートルの正方形の中に完全に入る大きさであること。
3 三〇MHz を超え一GHz 以下の周波数の電波の測定用空中線
⑴ 八〇MHz を超える周波数の電波の測定においては、測定する周波数に共振する半波長共振型のダイポール空中線であること。また、八〇MHz 以下の周波数の電波の測定では八〇MHz に共振し、かつ、給電線に整合(電圧定在波比が二未満)した半波長共振型のダイポール空中線であること。
⑵ ⑴に定めるもののほか、広帯域型空中線(一の空中線により複数の周波数の電波の測定を行うことのできるものをいう。以下同じ。)等の他の直線偏波空中線を用いることができる。この場合において、給電線に整合(電圧定在波比が二未満)しており、かつ、被測定機器から輻射される電波のうち測定用空中線に直接到来する
電波の方向に対する空中線利得と地面から反射して到来する電波の方向に対する空中線利得の差が一デシベル未満となる指向特性であること。
4 一GHz を超える周波数の電波の測定用空中線は、ホーン空中線であること。
五 測定の方法
試験場における各機器の配置は、別図第一号に示すとおりとし、電界強度の測定の方法は、次のとおりとする。
1 一五〇kHz 以下の周波数の電波の測定の方法
⑴ 地上高一・五メートルの位置に測定用空中線を垂直に設置する。
⑵ 回転台及び測定用空中線を回転させながら電界強度の最大値を測定する。
⑶ ⑵の最大値から次の式により求められる値を減じた値をもって被測定機器が発射する電波の電界強度とする。
24-20log10F デシベル
Fは、測定する電波の周波数(単位MHz)とする。
2 一五〇kHz を超え三〇MHz 以下の周波数の電波の測定の方法
⑴ 地上高一・五メートルの位置に測定用空中線を垂直に設置する。
⑵ 回転台及び測定用空中線を回転させながら電界強度測定器により電界強度の最大値を測定する。
⑶ ⑵の最大値が得られた状態において、スペクトルアナライザにより、分解能帯域幅を一〇kHz とした時の電界強度E1 及び分解能帯域幅を一〇〇kHz とした時の電界強度E10 を測定する。
⑷ ⑶で測定したE1 とE10 の差が三デシベル以下の場合は⑵の最大値、三デシベルを超える場合は、スペクトルアナライザの表示値が変化しなくなるまで分解能帯域幅を広げて測定した電界強度の値をもって被測定機器が発射する電波の電界強度とする。ただし、一五MHz 以下の周波数の電波の場合は、当該最大値から次の式により求められる値を減じた値を当該電波の電界強度とする。
24-20log10F デシベル
Fは、測定する電波の周波数(単位MHz)とする。
3 三〇MHz を超え一GHz 以下の周波数の電波の測定の方法
⑴ 地上高一・五メートルの位置に測定用空中線を垂直偏波を受信するように設置する。
⑵ 電界強度測定器で測定した電界強度が最大となる方向に回転台を回転させ、固定する。
⑶ 測定用空中線の地上高を一メートルから四メートルまで変化させ、電界強度測定器により電界強度の最大値を測定する。
⑷ ⑴から⑶までと同様な方法により、測定用空中線を水平偏波を受信するように設置した場合の電界強度の最大値を測定する。
⑸ ⑶の値と⑷の値のいずれか大きい値が得られる状態において、スペクトルアナライザにより、分解能帯域幅を一〇〇kHz とした時の電界強度E1 及び分解能帯域幅を一MHz とした時の電界強度E10 を測定する。
⑹ ⑸で測定したE1 とE10 の差が三デシベル以下の場合は、⑶の値と⑷の値のいずれか大きい値、三デシベルを超え七デシベル以下の場合は、⑸のE10 の値、七デシベルを超える場合は、⑸のE10 の値に五デシベルを加えた値をもって被測定機器が発射する電波の電界強度とする。
4 一GHz を超える周波数の電波の測定の方法
⑴ 地上高一・五メートルの位置に測定用空中線を垂直偏波を受信するように設置する。
⑵ 電界強度が最大となる方向に回転台を回転させ、固定する。
⑶ 地上高一・五メートルで、被測定機器からの水平距離に反比例して電界強度が減衰する位置に測定用空中線を設置し、電界強度を測定する。この場合において、被測定機器と測定用空中線の水平距離が三メートルと異なるときは、電界強度は距離に反比例して減衰するものとして、距離三メートルにおける電界強度に補正する。
⑷ ⑴から⑶までと同様な方法により、測定用空中線を水平偏波を受信するように設置した場合の電界強度を測定する。
⑸ ⑶の電界強度と⑷の電界強度のいずれか大きい値をもつて被測定機器が発射する電波の電界強度とする。
六 その他
1 測定器及び測定用空中線(第三項及び第四項に規定するものを除く。)については、第三項及び第四項に規定する測定器及び測定用空中線を使用して測定を行つた場合の測定値との差をあらかじめ算出できる場合に限りこれを使用できる。この場合において、測定値は、あらかじめ算出した差をもつて補正する。
2 被測定機器が、平成十八年総務省告示第百七十三号(総務大臣が別に告示する試験設備を定める件)において規定する試験設備の内部においてのみ使用されるものであるときは、第一項に規定する条件にかかわらず、当該試験設備の内部に被測定機器(被測定機器の空中線が当該被測定機器の本体と一・五メートル以上の給電線で接続されている場合は、当該空中線)を通常の使用状態に近い状態で設置し、当該試験設備の外部(扉その他の構造を考慮して、当該試験設備による被測定機器の使用周波数における漏えい電波の電界強度の減衰が、最も小さくなる地点とする。)で電界強度を測定する。この場合において、高さを設定するときは、当該試験設備の床面を基準とする高さとし、被測定機器と測定用空中線の水平距離が三メートルと異なるときは、電界強度は距離に反比例して減衰するものとして、距離三メートルにおける電界強度に補正する。
3 被測定機器が、人の生体内に植え込まれた状態又は一時的に留置された状態においてのみ使用されるものであるときは、当該生体内に植え込まれた状態若しくは一時的に留置された状態で測定するか、又はそれと同等の測定結果が得られる測定装置を用いて測定する。
4 第一項から前項まで又は前二号に規定する条件によることが著しく困難又は不合理と総務大臣が認める場合は、これによらないことができる。
別表第一号 正規化サイトアッテネーションの測定方法
一 次の二から六までの手順に従い、別表第二号に示した各周波数に関して、正規化サイトアッテネーションの測定を水平偏波及び垂直偏波の各々について行う。ただし、代替試験場における測定については二から六までの手順によるほか、七の条件により行う。
二 被測定機器を設置する場所の位置に送信用空中線(半波長又は半波長共振型のダイポール空中線に限る。)を設置し、当該空中線から水平距離三メートルの位置に測定用空中線(半波長又は半波長共振型のダイポール空中線に限る。)を設置する。
三 送信用空中線及び測定用空中線から十分離れた位置に標準信号発生器及び測定用受信機(測定器の条件又はこれと同等の条件に適合するものに限る。)を設置し、送信用空中線と標準信号発生器の間及び測定用空中線と測定用受信機の間を同軸ケーブルで接続する。
四 送信用空中線を別表第二号に示す地上高h1に設置し、測定用空中線を同表に示す地上高h2の範囲内で連続的に昇降し、送信用空中線から発射される電波の受信機入力電圧を測定し、その最大値V1(単位マイクロボルト)を求める。
五 送信用空中線及び測定用空中線に接続されている同軸ケーブルを各空中線から離し、これらの同軸ケーブルを直接接続した場合の受信機入力電圧V0(単位マイクロボルト)を求める。
六 試験場の正規化サイトアッテネーションは、次の式により求められる値とする。
20 log10 (V0 ) − 20 log10 (V1 ) −AFt −AFr − ΔNSAデシベル
ただし、AFt :送信用空中線のアンテナ係数(単位デシベル(1/m))
AFr :測定用空中線のアンテナ係数(単位デシベル(1/m))
ΔNSA:空中線間結合及び大地面の影響に対する補正値(単位デシベル)
注1 アンテナ係数は、空中線にバラン(平衡-不平衡変換回路)やインピーダンス整合用減衰器などが附属する場合には、これらの損失を含むものとする。また、次のいずれかの条件で値付けされていること。
⑴ 自由空間
⑵ 金属大地から2メートルの高さ
⑶ 金属大地から3メートルの高さ
2 補正値ΔNSAは、注1のアンテナ係数の値付けの条件に応じて別表第三号から求める。ただし、周波数が300MHz を超える場合は、補正値ΔNSAをゼロデシベルとする。
3 外来電波による妨害等のため別表第二号に示した周波数において測定することが困難な場合は、当該周波数の近傍で測定を行うことができる。この場合の正規化サイトアッテネーションの理論値は同表に示す値から内挿して求めること。また、補正値ΔNSAについても別表第三号を用いて求めること。
七 代替試験場での測定に用いる送信用空中線及び測定用空中線の配置は、別図第二号に示す空中線の配置により行う。ただし、電波の透過性のよい材質による覆いが敷設された代替試験場については、二に示す配置により測定することができるものとする。また、電波吸収体を敷設した代替試験場において、その大きさの制約から三〇MHz 以上八〇MHz 以下の周波数において半波長又は半波長共振型ダイポールアンテナを使用した正規化サイトアッテネーションの測定が困難な場合は、当該周波数帯の送信用空中線及び測定用空中線として八〇MHz の周波数に共振し、かつ、給電線に整合(電圧定在波比が二未満)した半波長共振型のダイポール空中線を用いて正規化サイトアッテネーションの測定を行うこととし、この場合において、四中「別表第二号」を「別表第四号」と読み替えるものとし、六中「別表第三号」を「別表第五号」と、「別表第二号」を「別表第四号」と読み替えるものとする。
別表第二号 正規化サイトアッテネーションの理論値