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EMC対策PART2

EMC対策としてのコア

PART2.どんなコアをつかえばよいのか

コアを使ってノイズを低減できることがわかっていても、どんなコアをどのように使えばよいのか、間違った使い方をすると発熱したり、電線がちぎれたりする可能性があります。数あるコアのなかから、何を選択すればよいのか、単にコアといっても色々あります。最も簡単なのは、EMC用コアとしてラインナップされているカタログから、適切なものを選ぶことです。コア選択の考え方を掲載しているホームページもあります。しかしながら、高電圧または大電流の電線にコアを使おうとする場合は特に、発熱など留意しなければならない事項があります。

コアの主な仕様は、
(A)大きさ、形状
(B)透磁率、損失係数、AL値
(C)飽和磁束密度、キュリー温度
(D)抵抗値、コーティング

(A)大きさは、当然のことに筐体内に入るか、どのように配置するかということで適切なものを選択することは勿論ですが、他の条件も考慮して総合的に判断する必要があります。
形状についても様々で、ロッド型、平板、ポット型、EI型、トロイダル(ドーナツ)型などがあります。

(B)透磁率、損失係数、AL値は、EMC対策用としてのコアのカタログには、掲載されていないことがあります。コアの型式毎に使用周波数範囲や使用条件が記載されていて、それらを参照して適切なコアを選択しても十分です。但し、どのコアが一番効果的かを検討するにはこれらの値や特性を確認します。

(C)飽和磁束密度は、コアの最大許容電流と読み替えて考えても差し支えないでしょう。飽和磁束密度を超えないように十分なマージンをとっておくことが大切です。また、キュリー温度は、その温度に達すると透磁率が急激に減少します。こうなるとインピーダンスが減少して、EMC対策としての機能を果たさなくなるばかりでなく、加速度的に発熱-温度上昇してコアが割れたり電線の被覆を溶かしたりすることがあります。自身の発熱や環境温度を考慮してキュリー温度が十分に高いコアを選択するなど配慮が必要です。

(D)コア材質の抵抗率は、1Ωm以下のものから、数MΩmのものまであります。抵抗率が低いものは、絶縁コーティングが施されているものもありますが、施されていないものもあります。絶縁物だと思い込んで扱っていると、特に高インピーダンス回路や高電圧回路で思わぬ故障や性能劣化を招く恐れがあります。

図1
平板コア ロッド型 トロイダル型
平板コア
クリップで挟むようにしているものが多い
ロッド型
磁束を放射する。
EMC対策には不向き。
トロイダル型
磁束を放射しにくい。
EMC対策に向いている。

平板コアは平行線に装着するには都合が良く、平行線の太さや幅でサイズを選択することになります。ロッド型は、いわゆる丸棒形状のことです。AMラジオの中に入っていることもあります。これはEMC対策に使えないこともないですが、むしろアンテナであって、EMC対策としては不向きです。棒内を通る磁束が先端から放射されるからです。EMC対策としてよく選択されるのはトロイダル形状のものです。これは磁路が閉じられていて磁束が漏れにくく、EMC対策に適した形状です。トロイダルを真っ二つに割った形状で、配線接続済みの電線に簡単に装着できるタイプもあり、対策用としては有用です。巻きつける線材の太さや巻数などによって適切な大きさのコアを選択することになりますが、大きさによって性能が違ってきますので総合的に判断することが必要です。

図2
特性図

透磁率は、磁界と磁束密度との比例定数で、コア材料のパラメーターです。
磁束密度=透磁率×磁界 の関係があります。この透磁率が大きいほど、大きなインダクタンスを得ることができます。透磁率は周波数によって変化しますので、特性図を見て選択します。インピーダンス-周波数特性として記載されている場合もあります。
上図の場合、このコアを3ターンで使えば30MHzではより効果的であるが、100M-400MHz付近では注意が必要であることがわかります。
損失係数は、tanδやQとしてその周波数特性図がカタログに掲載されています。ノイズエネルギーを損失させ、熱に変換することを検討するのであれば必要なパラメータですが、それは賢明な選択ではありません(PART1参照)。損失が大きすぎるものは避けた方がよいでしょう。
AL値は、単位巻数でのインダクタンス値の指標です。一つの周波数で取り上げた代表値です。

図3
BHヒステリシスカーブ

磁界(H)を横軸、磁束密度(B)を縦軸にとったB-Hヒステリシスカーブで透磁率の変化の様子がわかります。いくら磁界を強くしても、それ以上磁束密度が増えなくなります。これが飽和磁束密度です。この特性は、コアによって様々です。飽和磁束密度(Bmax)を超えるような使い方は、危険です。電線を流れる電流と磁束密度の関係は以下の通りで、飽和磁束密度から使用最大電流を求めることができます。

Imax=Bmax×Lmin÷(μ×N) Lmin :コア内径の周長
μ :コアの透磁率
N :電線の巻数

特性カーブが横に傾いている部分では、損失が大きく、透磁率も低いのでEMC対策としての機能も期待できません。十分に余裕がある状態で使うことが重要です。

図4
悪い例

例えば、体積抵抗率0.3Ωmのコアがあります。活電部とシャーシー間でちょうど1cm立方のコアがどちらにも接触しているとします。このとき活電部とシャーシー間に300Ωの抵抗を接続したのと同じになります。活電部が100Vrmsとすると、約33Wをこのコアで損失していることになり、異常加熱して壊れるか、周囲に被害を及ぼすことになります。この例の場合は、漏洩電流も増大します。高インピーダンス回路の場合は低インピーダンスになってしまいます。

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